峠の茶屋
学生時代のこと。
夏だったかな...？
奈良県の南端、
十津川村に遊びに行くことになった。
そこは先輩の出身地、
つまり実家があるのだ。
さて、その十津川村。
当時(今もかな？)日本で一番大きい村として知られていて、
温泉もあり、
とりあえず観光地でもあった。
途中に『谷瀬の吊り橋』という
日本最長の鉄線の吊り橋もあり、
そこもなかなかのスポットでもあった。
しかし...
この十津川村...
とにかく辺鄙(ヘンピ)な場所
そしてそこから奈良交通バスにのり、
約４時間！
奈良県の北端からならまだしも、
中南部の拠点都市から４時間かかる村なのである。
ただ、幸いに、
マスターＥと友人達は、
先輩の車に乗り出発した。
ところで、そのころのマスターＥは...まだ、
ティーンエイジャー
とにかくいつもお腹が空いている時代であった。
そのため奈良名物の、
柿の葉すし
を弁当代わりに買っておいたのだが...
１時間もしないうちに、
無くなってしまった！
この先、まだ約３時間...
何も食べずにはいられない...のであった。
ここで補足だが、
実はマスターＥ...
自分で運転する以外は、
車酔いするのであった〜っ!!!!
先輩の乗用車、
バスよりは幾分かましではあるものの、
山道を３〜４時間は...
めっちゃキツイッ!!!!
しかし出発したが最後、
途中で降りることは不可能なシチュエーション。
実は『柿の葉すし』はそのための布石でもあった。
なんせ酢の利いた食品であるため、
消化系に優しい！
でも、その分...
消化が速いっ!!!!
乗り物酔いのある方はご存知だと思うが、
食べ過ぎは最悪としても、
空腹状態であることも、
なかなか辛い...！
マスターＥ...
大ピーンチッ!!!!
とっ、そういうタイミングの時、
ある峠で茶屋があり、
そこで食事休憩を取ることになった。
ああっ...
神は存在したっ!!!!
もちろんそこで食事を取るマスターＥだが、
当然...
胃に優しいメニュー
を注文する。
ベタであるが、
『お茶漬け』
値段は確か４００円。
２５年くらい前だからそこそこいい値段である。
しかし、その店は交通不便な観光地の途中の茶屋。
街中の店と同じでないことは仕方がない。
すると、そのお茶漬け...
１〜２分くらいで出てきた。
まあ、『ご飯』さえあれば手間がかかるものではないし、ありえないことでもないか...。
と思った。
お盆の上には、
- 蓋がある "ドンブリ"
- お茶の入った "急須"
- そして "香の物"
ん〜っ...場所が場所とはいえ、こんなんでいい値段取りやがる...。
まあでも、しゃーないか...。
気を取り直して、
マスターＥ...
神の恵みの "お茶漬け" を食べようとドンブリの蓋を取ると...
そこにあったのは、
ただの白いご飯...
うえぇっ！
速攻、店のおばちゃんにそのことを伝えると...
そのおばちゃん...
調理場からあるものを手に戻ってきて...
「ごめんなさいね、入れ忘れてたわ。」
とっ、
『永谷園のお茶漬け海苔』
を...
袋のまま
持ってきぃやぁがったぁーっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!
「...。」
ありえへんこと...
すなぁーっ!!!!!!!!
まったく...
何を考えとんねんっ!!!!
こっちも、別に...
上等なお茶漬けが出てくるとは思ってへんっかったけど、
当時のその値段で、
"永谷園" はないやろーっ!!!!
それに...
忘れてたにせよ...
せめて...
袋やぶって、ご飯にかけてからださんかいーっ!!!!
ぐっぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーっ!!!!
辺鄙な場所にある...
ライバルのない店やったら...
何やっても許されると思ってけつかんねんやろーっ!!!!
ぼけぇぇぇぇぇぇぇーっ!!!!
