BROGLD MASTER 伊勢屋の非大人的アレコレ

おそらく、読んだ人の役には立たない内容ばかりです。

爪と尻尾

随分昔のこと。


もう20年以上経つのではないかな?


ある人に頼まれてちょっと仕事のお手伝い。


軽〜い気持ちで小遣い稼ぎのつもりが、





今でも恐怖を感じるほど、
大変な仕事になったのですっ!





それは簡単に言うと、


運び屋さん。









毛皮販売のイベント会場に、


その毛皮を運び込むこと。




ただ、それ自体は大したことではありません。


高額とはいえ、


特に重いものでもなし、


難波から本町という短い距離を、


トラックで運ぶ。



至って簡単な仕事。




こんなんでバイト代もらえるならラッキーッ!!!!







って感じでした。



























「...。」


































そこまでは...ね...。





































毛皮を全部運び込み、


倉庫のある難波に戻ります。




これで終わりやな。


と思ったとき、


まだ、別のものを会場に運ぶと聞かされました。



















一体何かな...?















それは...



毛皮ならぬ...



毛皮を剥ぐ前の状態のもの...。



乾燥しているソレ。





そう...





はく製ですっ!!!!






2体ありました。






















イベント会場に飾り、


インパクトを出すために用意されたのものでした。











まず1体め。


それは...




白熊



ただし、まだ小熊でした。


はく製になって不憫な感じがしますが、


それをどうこう言う立場でもないし、


とにかくトラックに積み込みます。







マスターEが前、


もう一人が後ろを持ちます。






いかに白熊と言えど、


さすがに小熊だったので、大した重さではありません。



それでも慎重に持ち上げます...。











すると...



「痛っ!!!!」

マスターEの背中に刺激が走ります。







何かと思うと...それは...







熊の爪っ!!!!













そのはく製、


右前足が肩の位置に上がった状態、


つまり軽〜い攻撃態勢。





だから、マスターEが持ち上げたら、


ちょうどその爪が背中に当たるのです。





もう...ホントに...



持ち上げて、歩くたびにちょうど背中に当たるのですよ...






一歩進んで、

「痛っ!」


二歩進んで、

「痛ったっ!」


三歩進んで、

「痛ったったっ!」



まるでドリフのコントですっ!!!!










それでも、これは笑える程度の話です。


ちょっとガマンするだけですし、


背中に傷がつくこともありません。







恐怖は...この後です...。
















まず、その時の重要な状況をお話しておきましょう。


先程からマスターEと一緒にその仕事をしている人ですが...




基本的に『堅気』なんですが...




あくまでも基本的であって、



いわゆる『プロ(本職)』とのお付き合いもあるお人で、



『堅気』なのに...


『兵隊(子分)』がいるような人でした。






ここで間違いがないように申し上げておきますが、






その人は誓って、



『や○ざ』ではありません。





マスターEとも、


たまたま共通の知り合いがいただけ、




ちょっと仕事を手伝っただけです。









マスターEから見たその人は、



男気があって、ユーモアもある。


責任感も強く、


同じ男性から見ても、


カッコイイ人でしたっ!






しかし、貫禄は半端じゃなくて...


怒ったら...




んっちゃくっちゃ怖い人でしたっ!!!!

















そういう人と荷物を運んでいたわけです。


ちなみにトラックとは、


軽トラでした。


まあ、乗る量は少ないですが、


移動距離が短いので、


何度も往復すればいいので問題無しでした。



















そこで、2体めのはく製です。


それは...





トラですっ!!!!





先程の白熊が可愛く見えるほど、


立派な大人のトラでした。




尻尾の先まで入れると



2mくらいあったと思います。



実際、軽トラの荷台から少しはみ出しました。














ちなみにこのトラのはく製。


金額にすると、安くても500万円。


場合によっては800万円位するものだそうです。




生息数の減少により、


滅多に手に入らないもので、


その付加価値も乗っかっているようです。






もう一つちなみに...






運び出すにあたって...




保険には入ってないそうでっすっ!!!!







どえぇーっ!!!!








んな無茶なぁ〜っ!!!!






















とは言っても、


後の祭り...。







その場から逃げることは不可能でした。






もう...覚悟を決めるしかありません...。






































ところで、まず、


このトラのはく製を軽トラに乗せなくてはなりません。








もともと置いてあったのは、


1m40cmくらいの高さの台の上でした。





とにかくそこから、


一度床に下ろします。











んでっ!


ちょっと手を添えて重さを確かめます...。







「ふぅんむっ!」






「...。」






「えっ!全然動かへんっ...!」








そう...。


白熊の子供と違い、




メッチャ重いっ!!!!





何kg?かって聞かれても思い出せません。



とにかく重かったのです。




必死でしたから、いわゆる...





『火事場のくそ力』


が出ていたと思いますので、


具体的な重さは...不明です...。









ところで、


マスターEも実は力には自信があった方ですが、


明らかにもう一人の方が、


体もゴツくて、力も強い人でした。





がっ!





重い頭部よりの方をマスターEが持ちます。





ソレは何故かというと、



尻尾が折れるとイカンからですーっ!!!!












それ故に、軽いとわかってはいるものの、


力がある方の人物が尻尾側を持つのは当然!







なかなかハードな条件です...。












それでもなんとかやらねばなりません。


1・2・の・3


で、台から下ろしました。







「うぐおぉぉぉっ...おっ...重い...んぐっ...。」








短い時間ですが、手が滑ってきます。


徐々に危ない瞬間が近づきます。


このままだと落としてしまうかも知れません...。





それに『爪』はないものの、



トラの顔はマスターEの頬の横。



ネコとは比べ物にならない太いヒゲがマスターEの顔を



チクチク刺激します。




正直...



「もうアカンっ!」

ってところまできたのですが、



脳裏をよぎる、




5〜800万円っ!!!!










それを思い出すと...






「爪が剥がれようが、手を放すわけにはいかんのんじゃーいっ!!!!」











っという、



日常が『背水の陣』状態の、




貧乏人パワー


が発揮されます。











なんとかマスターE...


そのパワーで助かりました...。





ホントによかったです...。









そして次は軽トラの荷台に、



これは比較的簡単。












次は、移動です...がっ...




荷台に乗せたトラはサイズオーバー。




なのでもう一人が荷台に乗ったまま、



トラを手で・体で押さえます。








マスターEは運転。








ところが、さすがに大都市の中心を走るため、


割り込みなどは当たり前。


いくらマスターEが慎重な運転をしようが、



どうしても少しはアクセルとブレーキ操作は荒れてしまいます。






その度に荷台からは...





烈火のごとく怒ったパートナーの怒鳴り声っ!!!!

なっ何か不始末があれば...

ただでは済まんかも〜っ!!!!




もう、マスターE...



泣きそうでしたよ...。



いや、泣いていたと思います...。
















それでも何とか無事に到着。




車を止めて、サイドブレーキを引きました。



すると荷台に乗っていたパートナーが近づき...。






「何やっとんじゃワリャァ!ボケェーッ!」






無事着いたのに...


むっ報われませんでした...。





ただ、パートナーも後で聞いたら、



気が張りまくってたそうです...。






「すまん、すまん。」



と、軽く謝ってくれました...。
















結局無事に荷卸が完了。



焼肉とビールで乾杯っ!



緊張感から開放された瞬間でした...。












それにしても...


生きた心地がしなかったです...。



































そこで、標語です。



気をつけよう!

子熊の爪とトラの尻尾っ!!!!