深夜のドライブ
どうかしたん？
さっきからずっと黙って...。
別に...。
「別に。」って...
その言い方もなんかおかしいやんか。
何もあらへんよ。
そんなことないやろ。
何やねん、言うてみいや。
せやから、何もないって言うてるやんか！
放っといてや！
何もない訳あらへんやろ。
おまえが怒ってんのはわかってんねん。
気になるから話してくれへんか。
いやや...。
ほら、やっぱり何かあるんや。
ずるいわ。
引っ掛けやんか！
そんなん言うけど、こっちも気になるやろ。
とにかく話してぇや。
なっ...！
いや。
絶対いや。
いい加減にせえよっ！
こっちが気ぃ使って話してたら、いい気になって！
何よ！
別にいいやんか！
大きい声出したら何とかなる思ってんのん！
そーいうこととちゃうやろ。
こっちは、『何とかしたろう』と思って聞いてるんや！
せやから、別に聞いていらん。
ちょっと待てや。
オマエいつからそんなに根性悪なってん。
ホンマに怒るで！
怒ったらエエやんか！
私悪ないもん。
何やねん！
ほんならオレが悪い言うんか！
ああ、そうや！
アンタが悪いんや！
なんでやねんな！
オマエの態度が悪いからこうなったんやろがっ！
せやから、そういうこととちゃうねん！
アンタのせいで私は怒ってるんやんか！
なんやねん、それ。
せゃーから、初めっから聞いてたんやろ！
しかも、下手に出て。
それやのにオマエが何も言わへんからこうなったんやろ！
人のせいにすんなや！
「...。」
ほんなら言うわ...！
おおっ！何やねん。
言えよ。
アンタ...。
灰皿にあるこのタバコの吸殻。
口紅ついてるのん...コレ何やのん？
「へっ？」
何やのん？って聞いてんねん。
誰が乗ってたんよ！？
あっ！それは上司が乗った時や。
いつ？
２日..いや...３日前かな...？
昨日私が乗った時は、こんなんなかったけど。
あっ...そう...。
いや、そんなことないやろ。
勘違いちゃうか？
アホ言うたらアカンわ。
昨日、アンタがコンビニのトイレ行ってる間に、
私が灰を全部捨てたんやで。
間違うわけないやんか！
それに『上司』って何やの？
アンタに女の上司なんかいてたん！
あぅ、おお、そうや。
東京から出張してきた上司が女やねん。
それでな。
その上司が持ってた携帯灰皿がな、
なんか知らん間に、オレのカバンに入っててな、
返そう思ってんけど、中の灰だけここに捨てといたんや。
ほんなら、
その女の上司、
ここに乗ったん？
せやなあ。
乗ったよ...うん...乗った。
いつ？
せやから２〜３日前やんか...。
ふ〜ん...。
なっ！
別におかしいことあらへんやろ...。
その上司って何歳やの？
えっ！
そーやな〜っ...４２・３かなぁ？
アンタのことどう呼んでんのん？
どうって...もーええやろ。
ええ加減に納得せえや！
なんで答えられへんの？
わかったよ...答えたらええんやろ...。
『田中君』って呼ぶ。
ふ〜ん...。
別におかしいことないやんか。
普通やろ、ソレ...。
そしたら、これは何やのん！？
これって...？
「このチョコレートは何や！」って聞いてんの！
「はひっ？」
せやからこの...
ドリンクホルダーに入ってたチョコレートは何やの！
聞いてるんやから、早く答えてぇよ！
そ...そんなんあったん...？
し...知らんけど...。
何知らんフリしてるんよ。
そしたらコレ、ラッピング開けてもいいやんな。
えっ...ソレはどうやろ...誰のんかわからへんし...。
『誰のか』って...こんなとこにあるねんから、
アンタのに決まってるやんか！
開けるよ！
文句ないね！
いや...ちょっと待てや...。
「ヨシくんへ。手作りチョコ挑戦しました。チュッ！」
って書いてあるけど。
あ...そう...なんや...。
『ヨシくん』って、アンタのことやないの！
せやなぁ...。
ほんで...。
コレ誰やのん？
誰って...誰やろ...。
また、さっきの上司って言うつもりなん？
いや...。
最低。
もうええわ。
ここで降ろして。
まあ、そんなこと言わんと...
話しをしょうや...。
何の話？
アンタのこと『ヨシ君』って呼ぶ東京から出張してきた、
４２・３才のタバコ吸う女の話！？
いや...そうやなくて...。
ええから！
止めてよっ!!!!
まったく...救いようがありませんね...。
それにひきかえ、
マスターＥなんて...
ピッチピチの可愛い女の子から、
手作りチョコクッキー
もらったもんね〜っ!!!!
それにしっとりした大人の女性から、
ＧＯＤＩＶＡのチョコ
(ショコラというべきか)
も一つ、
女子大生から、
手作りチョコデザートセット
世の中の同年代のオッサン共へ...
ざまあ見ろーっ!!!!
前半はフィクションです...。
