BROGLD MASTER 伊勢屋の非大人的アレコレ

おそらく、読んだ人の役には立たない内容ばかりです。

今でも怖い

今夜の話は誇張とかなしに、


少々おっかない思い出話です。













もう10年以上前のことでした。


時間は夜の10:30頃。




私は大阪の地下鉄の駅の階段を


やや急ぎ足で降りていました。


確か谷町線だったと思います。


駅は『谷町9丁目』だったかな...。






御堂筋線堺筋線と違い、


その時間になると大阪市地下鉄とはいえ、


他の線はあまり本数がなく、


一本逃すと結構な時間待たされてしまいます。





大阪府内及びその周辺地域に居を構える人は、


その大多数がJRや私鉄に乗り換える必要があるので、


地下鉄で待たせれる時間というのは、


なかなか苦痛なものです...。






だから、私も少々急ぎ気味だったのです。


しかし、ホームへの階段を1/3程降りたところで、


電車が来るベル(音)が鳴りました。


電車が着く前の知らせなので、


特別急ぐ必要はありません。


だから、少々の急ぎ足。









ところで私がそうしていると...。


私の後方から焦ってかなり急ぐ男性がいました。







服装はどう見てもサラリーマン。


年齢は50代半ば。


頭のてっぺんは完璧なバーコード。


少しやせ気味。


極ふつうのベテランサラリーマン。





しかし、その足元はかなりフラフラです!


姿勢も不自然なほど






『前傾姿勢』






完全に腰が曲がっていて、


まるでコントしているときの志村ケンのようでした。






そんな姿勢で、


しかも足元がフラフラ。


完全な千鳥足。




その上階段の真ん中、


手摺も持たずに私より早く階段を下ります。











「...。」











物理的に考えられない状態です!



正常に階段を下りる姿としては...。









私...次の瞬間の光景を予知したのでしょうか...?



自分の足は止まり、



その男性の姿をジッと見ていました。



すると、案の定...。





男性の足の動きは、


階段を下りるスピードについていけず、


その上、短距離走のスタートの姿勢に似た体勢ですから、




前に落ちるしかありません...。


「あっ!」という声を短く残して、


まだ、階段を十数段残している高さから、


その男性はダイビングするように


頭を下にして、


ホームの床のタイルに落ちました...。





まともに頭からです...。













私...その一瞬で...


死んだ。

と思いました。











頭蓋骨とタイルのぶつかる鈍い音を聞いた後、


ピクリとも動かない男性の鼻から、


『ツーッ』っと血が流れ出てきました。




情けない話ですが、


私何もできませんでした。


というより...




『生きている訳がない!』

だから、もう何もしようがない...。


それ以外の考えはありませんでした。






今思えば...







私の頭の中はパニック状態であったのだと思います。






だから、どのくらいの時間をかけて


階段を下りて、


その男性の傍に行ったのか、


はっきり覚えていません...。








倒れている男性を見つけた60歳くらいのオバサンが


「大丈夫ですか?」


といたって普通に男性に問いかけます。





多分そのオバサンは、


男性が階段からダイビングして


頭を床にぶつけた瞬間を見ていないから


そういう行動が取れたのだと思います。






私は心中...


そんなレベルのことじゃない。

と繰り返しながら、呆然とそこに立っていました。






すると3人くらいのグループが集まってきました。


そのうちの一人がホームから一部始終を見ていたようです。





その目撃者は仲間と要領よく駅員に連絡をとったり、


オバサンに男性を動かさないように指示したり、


まるで消防か医療関係者のように思えました。






そうしていると野次馬が集まってきました。


駅員もやってきました。


先程の目撃者の男性が状況を駅員に伝えます。


私の見たとおりの説明でした。








そして私は...


自分には為すべきことは無いと思ったのか、


とにかく怖かったのか、


やがてやって来た1本後の電車に乗り込みました。








今もはっきり脳裏に焼きついている事故です。



結局、あの男性は、



どうなったのでしょうか?



家族はさぞ悲しい思いをしているのでしょう...。






なんとも後味の悪い経験です。





今でも思い出すたびに怖くなります...。








縁蛸Web http://www.entako.net/